第5章 財産の不正操作に備える遺産分割の弁護士

財産の不正操作に対して、事前の予防策はないのでしょうか。
相続が発生するまでバレにくいことからも分かるように、長期間にわたって秘密裏に不正操作が行われるため、何年何月何日から始まったのかについての把握は難しい。気づいたころにはすでに遅いので、やはり予防が重要です。
遺産分割専門の遺産相続弁護士が考えるポイントは、財産の状態に対して無頓着にならず、情報管理を徹底すること。
家の財産という意識があれば、どうしても管理が甘くなります。自分個人に帰属する財産であるという意識を持って、きちんと管理することが財産の不正操作の被害をなくし、遺産相続トラブルを防止するには大切です。

1 通帳・印鑑の管理第5章 財産の不正操作に備える

通帳や印鑑の管理は、どうしても甘くなりがちです。
金庫に入れて、家族全員分の通帳や印鑑を一か所で保管しているケースも多いのが現実です。防犯や防災には効果的な金庫でも、財産の不正操作の防止には役立ちません。
それどころか、かえって財産の不正操作を助長している側面すらあると遺産分割専門の遺産相続弁護士は考えます。というのも、通帳や印鑑がどこにしまってあるのかを探す必要はないですし、同じところに保管していれば、自分の印鑑を持ち出すふりをして親の印鑑を持ち出すことも容易です。万が一見つかってしまったとしても、「自分のものと間違えた」と簡単に言い訳をすることもできます。
また、印鑑登録証明書が必要な場合でも、印鑑登録証(カード)さえあれば、委任状がなくとも役所の窓口で印鑑登録証明書の交付を受けられます。印鑑登録証を持っていることが委任状の代わりになる取扱いです。印鑑登録証明書交付申請書に記載すべき事項は、家族であれば当然知っている情報ばかり。容易に交付を受けられます。
通帳や印鑑を金庫に保管しているからといって安心することはできないというのが遺産分割専門の遺産相続弁護士からの警告です。
財産の不正操作を防ぐためには、各自金庫を用意して、それぞれの通帳や印鑑を保管しておくという対策が必要です。そして遺産分割専門の遺産相続弁護士が提示する重要なポイントは、金庫の鍵の番号は他の家族には秘密にしておくことです。
財産の不正操作を防ぐためには、財産に触れさせないことが一番重要です。
家の中の金庫に保管しておくのでは容易に見つかってしまいますから、金融機関の貸金庫を利用するのもよい方法です。通常、貸金庫内の保管品の出し入れは、契約者本人および予め登録した代理人だけが可能です。
貸金庫内に保管している財産に触れた人を特定できるのですから、もし不正操作されたとしても、誰が犯人なのか容易にわかります。

家族の印鑑類をまとめて保管するのは危険
家族の印鑑類をまとめて保管するのは危険

2 口座開設時における遺産分割専門の遺産相続弁護士からの注意事項第5章 財産の不正操作に備える

(1)生体認証

生体認証とは、人間の身体的特徴を使って個人を識別する認証方式です。
各金融機関で、生体認証機能が付いたキャッシュカードが利用できるようになりました。
預金者の指や手のひらの静脈パターンの情報を登録し、ATMを利用する際に預金者本人のものと一致するかどうかを確認するシステムです。静脈を流れる血液中の還元ヘモグロビンが吸収する近赤外線をあてることによって、指を撮像して静脈パターンを抽出します。この静脈パターンを、予め登録された静脈パターンと照合するのです。
静脈パターンは人により異なり、大きさ以外は成長や老化などによっても生涯変わりません。
指紋のような体表の情報は、樹脂で型を取ることにより偽造される危険性がありますが、静脈は体内の器官ですから偽造することは困難です。血流もチェックするので、人工的に偽造した物では通用しません。
静脈パターンはDNAの塩基配列では決定されないので、遺伝子が完全に一致する一卵性双生児であっても区別可能です。
本人だけしかATMを使用して預金を引き出せないので、預金の不正引き出しを防ぐためには効果的です。不正操作をした者による被害を防止するには、これから開設する口座はもちろん、既に開設している口座についても生体認証付きの預金口座に切り替えるべきと遺産分割専門の遺産相続弁護士はアドバイスします。

(2)インターネットバンキング

ネットバンキングはいったん始めると、本人確認が必要ありません。便利ですが、それだけに他人の現金をいつでも好きなように不正操作できる危険をはらんでいます。行員が気をきかせて使用目的を聞いてくれることもありません。発覚するリスクを冒してまで一気にごっそり全額を盗む必要はありません。少しずつ少しずつ、盗んでいけばいいのです。
申し込み自体は郵送で済ませられるので、家族名義のネットバンキング口座開設を申込むことは簡単です。
たとえワンタイムパスワードであろうと、家族であればPINカードを管理できます。
確かにお年寄りが銀行にいちいち足を運ぶのは大変ですし、ATMが近隣に設置されていない限界集落に住んでいても、ネットバンキングであれば手軽に取引ができます。お年寄りこそが一番、ネットバンキングの恩恵にあずかれるかもしれません。
しかしそもそも、どうしてネットに詳しくないお年寄りが、唐突にネットバンキングを申し込むのでしょう。パソコンができない70歳の父親宛に、PINカードが届いていたら、要注意です。不正操作をする者が無断で父親の口座を開設した可能性が考えられますから、父親に事実確認することはもちろんですが、早期に遺産分割専門の遺産相続弁護士に相談して対策を検討すべきです。パソコンに明るくない父親とネットバンキングのPINカード、こうしたちょっとした違和感を見逃してしまうと、取り返しがつかないほどの不正操作被害に発展することになりかねませんから、少しでも疑問がある場合には遺産分割専門の遺産相続弁護士に相談しましょう。

遺産相続弁護士のコラム ネットバンキングを利用した犯罪

ネットバンキングを利用し、映画さながらの大胆な手法で預金を窃取した犯罪がありました。
手口はまず、お年寄りに対して電話をかけ、インターネットバンキングを開設させます。
公共機関を装った「協会」を騙って電話をかけ、開設するとキャンペーンで図書カード500円分を後日送ると案内します。その後にやり取りを重ねたうえで開設に同意すると、「協会」から申込書が送られてきます。封筒には「●●協会」という印刷文字。あたかも銀行業界を代表して送ってきたかのような体裁ですから、お年寄りは何の警戒心も抱かずに信用してしまいます。
申込書にはインターネットバンキング専用の暗証番号を設定する欄があり、キャッシュカードの番号とは別の番号を記載することになっています。この暗証番号欄には予め「協会」が番号を記入しておき、銀行が用意した目隠しシールを貼っておくのです。
電話でヒアリングした情報などにもとづき、申込書は予め記入できるところを埋めて置きます。なるべく手間をかけさせずに銀行に直送させるのです。インターネットバンキングのカードがそろそろ到着したころを見計らって電話をかけ、届いたことの確認という名目で、IDと乱数票の番号を1つ1つ口頭で聞き出してメモをします。
このようにして数百人分のネットバンキング情報を聞き出したグループは、たった1日で、すべての口座から預金を偽名口座に根こそぎ移し替えました。五月雨式に不正操作を決行すると、銀行が対策を取ってしまうからです。数百人分の情報を収集しつつ、ログインしては残高を確認していたそうです。被害額数千万円の窃盗事件ですが、犯人は捕まっていません。
電話でキャッシュカードの暗証番号を教えてくれと言っても、応じる方は絶対にいないでしょう。しかしネットバンキングのIDや乱数表の数字は、他人に教えてはいけないものという意識が低い。「暗証番号」ではないので無理もないでしょうが。
インターネットの普及に合わせて平成12年前後から始まったインターネットバンキングですが、今ではその利用者も増加しており、銀行間でのサービス競争も激しさを増しています。全国銀行協会の平成24年の調査によると、インターネットバンキングの利用率は65.2%となっており、特に30代から50代の男性の利用が非常に高いとのことです。一方、女性や高齢者の利用率は低く、お年寄りにはまだまだ浸透していません。
ネットバンキングのリテラシーに欠けるお年寄りだからこそ、映画のような犯罪も可能だったのです。
その後、ウィルスによってネットバンキングの情報を聞き出す手口が横行し、ワンタイムパスワードを導入する銀行も相次いでいます。他人によるインターネットバンキングを悪用した犯罪には効果的ですが、財産の不正操作には、残念ながら無力です。

3 遺言作成にも注意が必要第5章 財産の不正操作に備える

遺産分割に詳しい遺産相続弁護士の立場からの遺言作成に関する注意点を紹介します。
家族間における会話として、その家の財産状況や遺産相続プランを話すこともあるでしょう。
お正月に家族全員が集まった際、「あの土地を売ろうか」「今後どのように資産運用しようか」と話し合うのは、ごく自然なことです。
ところが家族だんらんの機会が、不正操作をする者にとっては、財産状況を詳細に把握したり、財産の不正操作の計画を練ったりする機会となってしまうのです。財産状況に関する会話を聞いて、不正操作を急に思い立つ者もいるかもしれません。
もしものことに備えて、残された家族が財産状況を把握することは必要です。遺産相続トラブル防止のために遺言を書いて、家族で遺産相続について話し合うことを励行しているコンサルタントもいます。
しかし、遺言を書いたこと自体はともかくとして、財産状況や遺言の中身を詳細に教えることに対しては慎重になるべきというのが遺産分割に詳しい遺産相続弁護士からの警告です。
遺言について話し合うのであれば、当然、財産状況や遺言作成者の意思が公にされることになります。自分には少なく、兄には多く残そうとしていることが分かれば、遺産相続瓦解する前に手を打とうと考えるのは避けられないでしょう。
遺言や遺産分割に詳しい遺産相続弁護士に依頼するなどして作成する意味のある遺言は、財産の分け方に差がついている遺言です。みんなが仲良く平等に分けて欲しいという内容の遺言であれば書いても意味がありません。そもそも遺産相続において、遺産分割協議になれば法定相続分が意識されますし、仲良くというリクエストがあったところで遺産相続紛争になるリスクは消せません。
話し合いの材料にして問題が起きない遺言でしたら、そもそも遺言や遺産分割に詳しい遺産相続弁護士に依頼するなどして作成する意味はないのです。そして、財産を不平等な割合で分ける内容の遺言を、予め開示しても遺産相続トラブルを回避するうえで良いことはありません。家族皆で話し合って遺言を作成することは、不正操作をする者にヒントを与えるようなものなのです。
かといって、せっかく遺言を作成しても発見してもらえなかったら意味がありません。
遺言を作成したことだけは伝えて、内容については教えない。遺言や遺産分割に詳しい遺産相続弁護士などの専門家に遺言を預かってもらうことも有効です。遺言を預けた人を遺言執行者としておけば、スムーズに遺言内容を実現でき、遺産相続トラブルを回避することにつながります。

4 日頃から証拠収集第5章 財産の不正操作に備える

最終的には遺産相続トラブルに関する訴訟で解決することになりますから、証拠がどの程度揃っているのかは一番重要です。
財産の不正操作は長い時間をかけて慎重に行われます。行動期間が長い分、証拠が散逸しやすいといえます。また、遺言を作成させて帳尻を合わせるなど、通常の窃盗犯や横領犯よりも隠蔽工作しやすい環境が整っています。
銀行の取引履歴は10年程度しか遡ることができません。
登記申請の際の添付書類をさかのぼって確認しようとしても、すでに破棄されていることもあります。
金庫については、中身を定期的に記録しておかなければ、不正操作されたことを証明できません。
銀行から引き下した後の現金は、記録に残らないことが多く、現金の流れが後で追えなくなります。遺産分割に詳しい遺産相続弁護士からのアドバイスとしては、現金主義を放棄してクレジットカードを導入するなどの自衛策も必要だということです。
予め遺産相続紛争を予想して証拠収集しておくことが、後の訴訟において有利になるのです。ですから、遺産相続トラブルが発生してからではなく、遺産相続トラブルの可能性を認識した段階で、できるだけ早く遺産分割専門の遺産相続弁護士に相談することが重要となるのです。

5 不審な点を曖昧にせず一歩も譲らない覚悟が必要第5章 財産の不正操作に備える

財産の不正操作の件で遺産分割専門の遺産相続弁護士に相談するケースでは、遺産分割専門の遺産相続弁護士に相談しようと思うに至るまで、かなりの時間をかけて悩んでいることが多いといえます。
身内の恥をさらしたくないので、最初は自分たちで解決しようと試みます。
のらりくらりとかわされるケースもあれば、モンスターのような相手との話し合いに徒労感を感じ、最終的には話し合いによる交渉を諦めざるを得なくなるケースもあります。
財産の不正操作が発覚してから時間も経ち、もう遺産分割専門の遺産相続弁護士にお願いせざるをえない段階で初めて遺産分割専門の遺産相続弁護士に相談するわけですが、それでも逡巡されていることが多いです。
血を分けた兄弟と徹底的に争うことはしたくない。裁判になると時間がかかってしまう。もしかしたら次の交渉で話がまとまるかもしれない――。
遺産分割専門の遺産相続弁護士としての経験上はほぼ間違いなく、甘い期待が裏切られ、最終的には遺産相続トラブルに関する裁判に突入します。その間にさらに時間はロスしていきます。
失うのは時間だけではありません。遺産相続トラブルに関する裁判において重要な証拠を破棄されることもあります。相続税を最適な形で申告する機会も逸してしまいます。
不正操作をした者も家族です。しかしこの先、不正操作をした家族を信頼できますか? 昔のようにタンスの引き出しに通帳と銀行印を一緒に保管して、鍵をかけずにいられますか? 数々の傍若無人を許せますか?
遺産分割専門の遺産相続弁護士が依頼者に対して一番初めに伺うのは、家族と争う覚悟ができているかどうかです。
遺産分割専門の遺産相続弁護士は遺産相続紛争解決の専門家ですが、家族関係の修復を請け負うことはできません。
とっくに遺産分割専門の遺産相続弁護士が登場すべき場面であるにもかかわらず、遺産分割専門の遺産相続弁護士に依頼するのを躊躇される理由の1つとして、家族への過信を断ち切れないことがあります。最後の最後は家族なのだから話し合いができるのではないか、と淡い期待を抱いて遺産相続トラブルに関する交渉をこじらせている方が多いといえます。不正操作をした者と戦うのだという思い切りが大切なのです。
不正操作をした者との戦いは、遺産相続トラブルに関する裁判で重要となる証拠も情報も握られている中で、逆転勝利を狙う戦いです。
一歩も譲らず、最後の一滴まで徹底的に相手から搾り取るくらいの強い意志が必要であると遺産分割専門の遺産相続弁護士は考えます。

遺産相続弁護士のコラム 遺産相続させないためには

遺産相続トラブルに発展する前段階において対策を講じることで、遺産相続トラブルを回避する方法を遺産分割専門の遺産相続弁護士が検討します。不正操作をした者に遺産相続させないようにするのです。

(1)離婚訴訟

離婚することにより、配偶者に遺産相続させないようにするという方法です。
親子関係を終了させることはできませんが、離婚により夫婦間の家族関係を終了させることはできます。
離婚原因は民法770条1項で定められています。同項5号は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という抽象的な離婚原因を挙げています。どのような場合に「婚姻を継続し難い重大な事由がある」と言えるのでしょうか。遺産分割専門の遺産相続弁護士が具体的に検討します。
婚姻中の両当事者の行為や態度、婚姻継続意思の有無、子どもの有無や状況、双方の年齢・職業・資産・収入など、一切の事情を総合的に考慮して、婚姻関係が破綻し、共同生活の回復の見込みがない場合には「婚姻を継続し難い重大な事由」があると判断されます。
婚姻関係が回復の見込みがないほど破綻しているかについては、離婚請求する配偶者からの離婚請求が通常人(普通の判断能力のある人)ならば誰でも納得できるもので、社会通念や社会常識に照らして客観的に離婚請求が正当化されるような事情があるかどうかで判断されます。判例では、「相手方配偶者の暴力や虐待」、「相手方配偶者からの重大な侮辱」、「失業や浪費・借財などの経済的理由」、「相手方配偶者の犯罪行為」、「相手方配偶者の親族との不和」、「相手方配偶者の過度の宗教活動」、「相手方配偶者の性的異常」、「相手方配偶者の疾病・身体障害」、「夫婦間の性格の不一致」などが、婚姻を継続し難い重大な事由として挙げられています。
たとえば、嫁が義父の財産を不正操作したようなケースでは、「相手方配偶者の犯罪行為」、「相手方配偶者の親族との不和」に該当しますし、「失業や浪費・借財などの経済的理由」にも該当すると思われますから、「婚姻を継続し難い重大な事由」があると判断されることになるでしょう。

(2)養子縁組の解消

財産の不正操作をした養子に相続させないようにするという方法です。
財産の不正操作が行われる多くのケースでは、養子縁組が活用されています。嫁が義父の養子となったり、孫が養子となったりするのです。
養子になると、実子と同じ相続分(法定相続分)を相続することになり、財産の不正操作をされたうえに、さらに財産を持って行かれてしまうことになります。まさに、盗人に追い銭です。財産の不正操作の可能性が発覚した時点で、遺産分割専門の遺産相続弁護士に相談し速やかに養子縁組を解消(離縁)するべきです。
離縁の方法としては、①協議離縁、②調停離縁、③裁判離縁があります。
①協議離縁をする場合は、役所で離縁届の用紙をもらい、養親と養子がそれぞれ署名押印したうえで、保証人2人にも署名押印してもらって役所に提出します。離縁理由に制限はありません。養子縁組をする場合と異なり、養子が未成年であっても家庭裁判所の許可は必要ありません。養子が15歳未満の場合は、離縁後に法定代理人となる者が代諾権者として、養親との間で離縁の合意をします。
養親子間で離縁の協議が調わない場合は、②調停離縁によることになります。離縁したい方が相手方の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所に調停の申立てをします。離縁理由に制限はありません。養子縁組をする場合と異なり、養子が未成年であっても家庭裁判所の許可は必要ありません。養子が15歳未満の場合は、離縁後に法定代理人となる者が養子を代理します。調停が成立した場合、成立の日から10日以内に離縁届を提出します。
調停も不成立となった場合は、③裁判離縁によることになります。裁判離縁の場合、離縁訴訟を提起する前に調停を行うことが原則として必要となります(調停前置主義)。離縁理由は、㋐他の一方が悪意で遺棄されたこと、㋑他の一方の生死が3年以上明らかでないこと、㋒その他縁組を継続し難い重大な事由があることの3つに限定されます。裁判で離縁が認められた場合、判決が確定した日から10日以内に役所に離縁届を提出します。
離縁の手続きに躊躇していると、その間に遺産相続が開始することも考えられますから、取り返しのつかないことになります。
離縁したい養親が原告となって養子に対して離縁の訴訟を提起したが、裁判中に養親が死亡した場合、当事者がいなくなったことによりその訴訟での離縁はできなくなります。
つまり、養親が養子に自分の遺産を相続させたくないと考え、離縁の調停や裁判を行っていても、その途中で養親が死亡してしまうと離縁の手続きは終了し、離縁できなくなるのです。結果、養親の意に反して、養子は養親の遺産を相続することになります。
離縁を決意したのであれば、遺産分割専門の遺産相続弁護士に相談のうえ速やかに手続きをすることが重要です。
一方、離縁したくない当事者が先に死亡した場合、残った当事者は家庭裁判所の許可を得て離縁することができます。いずれにせよ、養子による財産の不正操作に気付いた時点で、早期に対策を講じる必要がありますから、まずは遺産分割専門の遺産相続弁護士に相談すべきといえます。

(3)遺留分の放棄制度を活用

財産の不正操作をした方手尾相続人に相続させないようにするという方法です。
養子縁組をした嫁が財産の不正操作をしていたことが発覚した場合、前述のように離縁の手続きをすることにより、嫁を法定相続人から外すことができます。
しかし、息子が財産の不正操作をした場合であっても、息子と家族関係を解消することはできませんので、息子は依然として遺産相続における法定相続人であり続けます。
遺産相続においては、相続権を失わせる「廃除」という制度もありますが、廃除事由には制限があるうえ家庭裁判所の審判を経なくてはならず、なかなか認められないのが現実です。
財産の不正操作をした者に、一切遺産相続させたくない場合には、財産の不正操作をした者に予め遺留分を放棄させたうえで、遺言を作成する方法があります。遺産分割専門の遺産相続弁護士が考えるポイントは、相続放棄は相続が発生しないとできないのに対して、遺留分の放棄は相続開始前でもできるという点です。
相続開始前の遺留分放棄には家庭裁判所の許可が必要です。当事者間で遺留分を放棄する旨の合意書を作成しただけでは遺留分放棄の効果は生じないので注意が必要です。
家庭裁判所は遺留分放棄を許可する基準は主に以下の3点です。
①放棄が本人の自由意思に基づくものであること
②放棄の理由に合理性と必要性が認められること
③代償性があること

遺留分の放棄と引き換えに、贈与などを受けている場合には、③代償性があるといえます。
財産の不正操作をしたのであれば、②③は認められる可能性が高いといえます。
今後の関係を当事者間で話し合ったうえで、不正操作をした者本人の意思により放棄の手続きをするよう遺産分割専門の遺産相続弁護士を介して説得させることが重要です。

遺産相続弁護士のコラム 裁判所からの和解勧告-徹底的に争うべきかの判断が重要

財産の不正操作に対しては、被害者がまず自力で交渉し、不正操作をした者のつれない態度に憤慨し、怒りで眠れぬ夜を過ごした末に、遺産分割専門の遺産相続弁護士に相談します。
遺産相続トラブルに関する裁判に訴えるまでの過程で逡巡し、時間がかかったうえで遺産相続紛争になっているのですから、不正操作をした者との和解は難しいのが一般的です。
それでも、裁判官は和解を勧めてきます。裁判官は一般的に判決を書きたがりません。作業量が膨大になり、面倒なのです。
和解で話をまとめる裁判官が有能であるとされ、自分に配転された事件を素早く処理することで、裁判所内で高評価を受けやすくなるという実情もあります。事件を終了させることを、「落とす」と表現するくらいです。
控訴されるリスクを回避するという事情もあります。判決まで至った案件については、敗訴した当事者が不満を抱えて、控訴をしがちです。控訴審では、地裁の裁判官が書いた判決を3人の高裁裁判官が吟味することなり、ミスがあれば指摘される。万が一、控訴で一審の判決がひっくり返ったら、人事評価にも響きかねません。
以上のような判決を書きたがらない事情に加えて、家族間の紛争であることは、裁判官にとって和解を勧める絶好の口実になります。争ってもその後の関係が続くのだから、お互いに譲歩してはどうかということです。話しても分かり合えなかったからこそ裁判を提起したのですから、この期に及んで話し合って解決することなどできる訳はないにもかかわらず、何度も和解を勧めてくる裁判官もいます。
当事者は和解について消極的なのに、裁判官が和解を勧めるのは、こうした事情があるからなのです。
裁判官の和解勧告に対しては、どのように対応すべきなのでしょうか。遺産分割専門の遺産相続弁護士が判断のポイントを説明します。
1つは財産の保全ができるかどうかで考えるべきでしょう。不正操作をした者の財産を差し押さえることができるかということです。できるのであれば判決の実効性が確保できます。できないのであれば、たとえ勝訴判決が出ても、単なる紙切れになってしまうリスクもあります。
次に、このまま争った場合、勝てるのかということも当然に考慮の要素になります。
最後に、今後の人間関係をどうしたいのかという点です。すでに訴訟手続きに乗せて互いの権利を主張し合っているのですから、人間関係にヒビが入っていることは否めません。しかし、双方納得のうえで和解をするのと、判決で最終的な判断が下されるのとでは、やはり今後の人間関係に与えるインパクトに差が出ます。
これら3点を総合的に考えて、和解勧告に応じるべきなのかを遺産分割専門の遺産相続弁護士に相談しつつ判断することになります。

6 家族の1人が隠れて行動しているなど不審な点があれば専門家に相談第5章 財産の不正操作に備える

長男が親に対してしきりに財産状況を確認するようになった。ニートの三男が頻繁に法務局に出かけているようだ。
不審な点があったとしても、まさか家族が財産の不正操作をしているとは考えないでしょう。
問い質したくても、家族同士なのでなかなか切り出せない。そうこうしている間にも、着実に不正操作されている可能性はあります。
家族の行動に不審な点が見つかった場合には、すぐに遺産分割専門の遺産相続弁護士などの専門家に相談すべきです。遺産分割専門の遺産相続弁護士とともに対応策を検討して、被害を未然に防いだり、最小限の被害で済んだりするようにすべきです。

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