第1章 実の兄弟間、義理の兄弟間、親子間でもめる遺産分割の弁護士

1 誰が盗むのか第1章 実の兄弟間、義理の兄弟間、親子間でもめる

財産の不正操作は遺産相続をきっかけに発覚し問題になることが多いので、遺産相続問題の一種として捉えられがちです。確かに相続人間で犯されるものが代表例です。
しかし、家族内における財産の不正操作を考える際、「家族」と、「相続人」との間にはずれがあります。
財産の不正操作は遺産相続における相続人間だけの問題ではないのです。
例えば、サザエさんでおなじみの磯野家では、波平とカツオ、マスオは同居する「家族」ですが、波平が死亡した場合、カツオは相続人ですが、マスオは相続人ではありません。
マスオが波平の財産について財産の不正操作を行えば(平和な磯野家にはあり得そうもない話ですが)、相続人間の問題にはとどまりません。
さらに、同居しているかどうかも財産の不正操作の本質ではありません。ちょくちょく遊びに来る義理の兄弟が、義親の財産に手を付けることもあります。
そうすると、財産の不正操作とは、相続人もしくは、義理の兄弟(相続人の配偶者)が行う不正操作行為を指すことになります。

2 いつ盗むのか、いつ発覚するのか、いつ問題にするのか第1章 実の兄弟間、義理の兄弟間、親子間でもめる

財産の不正操作が行われるのは、遺産相続開始前と遺産相続開始後に分かれます。
発覚するタイミングも遺産相続開始前と遺産相続開始後に分かれ、遺産相続開始前に発覚したとしても遺産相続開始後まで放置されていて、遺産相続開始後にはじめて問題になることもあります。なお、財産の不正操作が発覚するきっかけは、遺産相続の時だけではありません。離婚でも問題になることがあります。財産分与をする目的で財産目録を作成してみると、つじつまが合わない。妻に家計を任せてきたが、預金通帳にはお金が入っていなかった。自分名義の不動産が、勝手に子ども名義に書き換えられていた……財産目録の作成がきっかけで発覚するのが財産の不正操作なのです。

そして、この時系列の分類が重要です。財産の不正操作の問題を検討する際においては、時系列を意識することが必要になりますから、時系列によるトラブルの整理は遺産分割専門の遺産相続弁護士が考える財産の不正操作問題解決のポイントということになります。
不正操作をした者に対して返還請求する対象は、お金や不動産などが代表例ですが、まずはそれぞれの時点での不正操作行為に対して、誰が、どのように返還請求できるのかを遺産分割専門の遺産相続弁護士が整理します。

(1)遺産相続開始後の財産の不正操作

遺産相続開始後の財産の不正操作は被相続人の逝去に伴う混乱に乗じて、火事場泥棒的に決行されます。したがって証拠さえつかめば、正当な持ち出しであるという言い訳は通用しにくいといえます。相続人から相続人または義兄弟に対して返還を請求することになります。

(2)遺産相続開始前の財産の不正操作

これに対して、遺産相続開始前の財産の不正操作は遺産相続開始後のものに比べて少し複雑です。不正操作行為が遺産相続開始前でも、発覚したのが遺産相続開始前と遺産相続開始後に分かれるからです。

ア 発覚が遺産相続開始後

遺産相続開始後に発覚した場合は、相続人が不正操作をした者に対して請求することになります。被相続人の財産をめぐる遺産相続トラブルにおいて相続人どうしが争うなかで1つの主張として出てくることが多く、財産の不正操作が遺産相続に特有な問題となる所以です。

イ 発覚が遺産相続開始前、請求が遺産相続開始後

発覚自体は遺産相続開始前だったのに、請求するのに躊躇しているうちに遺産相続が開始してしまった場合も、相続人が請求します。財産の不正操作が発覚しても、遺産相続発生前の親が生きているうちは裁判沙汰にせずに放置していることも多いようです。不正操作をした者は、発覚当初は苦しい言い訳で逃れようとしますが、最終的に遺産相続開始後には開き直る傾向があります。

ウ 発覚が遺産相続開始前、請求が遺産相続開始前

父親の財産を息子の一人が不正操作し、父親が亡くなって遺産相続が発生する場合を考えてみましょう。
遺産相続開始前に発覚すれば、財産を盗まれた父親が息子に対して返還請求をすることになります。遺産相続前に紛争になるのです。親子間で財産を盗まれたとして裁判沙汰になっているケースは少なくありません。可愛さあまって憎さ100倍とはよく言ったもので、大きな背信行為などがきっかけとなって家族の関係がいったん壊れてしまうと、赤の他人同士よりも裁判になりやすいともいえます。
この裁判の終了後、父親は自分の遺産相続対策を考えるようになるでしょう。たとえば遺言を作成する場合には、不正操作行為をした息子には財産を渡さないという遺言内容にするものと考えられます。この遺言が原因となって、さらなる遺産相続トラブルになり、遺産分割専門の遺産相続弁護士と一緒に解決策を検討するような事態になる可能性もあります。

財産の不正操作の発覚と請求のタイミング
不正操作の発覚と請求のタイミング

3 誰にいつ請求できるのか第1章 実の兄弟間、義理の兄弟間、親子間でもめる

不正操作行為自体は遺産相続開始前であっても、発覚時期によって請求する人間が異なります。遺産相続開始前の段階で気付いた場合、持ち出された人間が請求することになります。
遺産相続開始後に発覚した場合は、相続人が請求することになります。遺産相続開始前に気づいたにもかかわらず時間がかかってしまい遺産相続開始後の請求になってしまった場合も同様です。具体的な場合分けについて、遺産分割に詳しい遺産相続弁護士が解説します。

(1)遺産相続開始後における相続人間でのもめごと Ⅰ

いちばん基本的な財産の不正操作です。
発覚は遺産相続開始後で、相続人間でもめて遺産相続トラブルになっている場合です。
不正操作行為自体は遺産相続開始前のものと遺産相続開始後のものがあります。
遺産分割専門の遺産相続弁護士からの注意点は、不正操作をした者が相続人であるために、遺産相続における法定相続分を超えた持分を不正操作していない限り、返せとは言えないという点です。なぜならば、遺産相続における法定相続分については相続人として正当な持分権を持っているからです。
請求できない場合と請求できる場合について、それぞれ遺産分割専門の遺産相続弁護士が分析します。

ア 請求できない場合
(ア)生前に贈与されていて生活の資本ではない場合

遺産相続発生前の財産の持ち出しについては、贈与があったかどうかなどで請求できるかどうかが決まります。
被相続人が承諾を与えていた持ち出しであれば、原則として贈与となるので請求はできません。この承諾には、当初は無断であったが事後的に承諾を与えた場合も含まれます。
ただし、相続人が贈与を受けた場合には、それが生活の資本である場合に限り、遺産相続における特別受益として遺産分割協議において清算をすることが許されています。
遺産分割専門の遺産相続弁護士が指摘するポイントは、相続人以外の者の持ち出しであれば、贈与している限り請求ができないという点です。遺産相続トラブルにおいて問題となった際に、「贈与を受けたのは自分ではなく妻である」と相続人が主張するのはそのためです。生前贈与の分を取り戻せるかどうかを巡って、贈与を受けた人間が誰であるかは大きな問題になります。

(イ)法定相続分を超えない相続人の持ち出し(全部相続させる遺言がない場合)

相続人の持ち出しが遺産相続開始の前か後かにかかわらず、それを遺産相続開始後に問題にする場合は、遺産相続における法定相続分を超えているかどうかが問題になります。
遺産相続における法定相続分を超えていなければ請求することができません。なぜならば持ち出した人間が相続人である限り、相続によって自分の相続分については正当な所有権が認められるからです。
相続人のうちの1人が相続財産である不動産を独占するなどして無断で使用するという遺産相続トラブルがよくあるのですが、不動産の無断使用によって生じた賃料相当額の損害についても、遺産相続における法定相続分を超えた部分については、不当利得返還請求権を行使することができます。
持ち出した人間が相続人でなければ、当然に全部の返還請求を求めることができます。

イ 請求できる場合
(ア)特別受益の場合

被相続人から生活の資本として生前贈与を受けていれば、遺産相続における特別受益として、贈与を受けた者に対して請求できます。

(イ)全部相続させる遺言がある場合

遺産相続開始後において、相続人による持ち出しを問題にする場合、遺産相続における法定相続分を超えていない限りは請求できません。ただし、自分に対して全部相続させる旨の遺言がある場合は、持ち出し額にかかわらず請求できることになります。

(ウ)持ち出しが遺産相続における法定相続分を超える場合

遺産相続における法定相続分を超える持ち出しがあった場合には、超えた部分について請求ができます。遺産相続における法定相続分を超える部分については、たとえ法定相続人であっても、相続による正当な所有権が認められないからです。遺産分割に詳しい遺産相続弁護士に相談して、すぐに請求する手続きをとるべきです。

(2)遺産相続開始後における義理の兄弟とのもめごと Ⅱ

遺産相続開始後に発覚して義兄弟に対して請求するパターンです。
請求できない場合と請求できる場合について、それぞれ遺産分割専門の遺産相続弁護士が分析します。

ア 請求できない場合

生前に贈与を受けていた場合には請求できません。相続人ではない義理の兄弟については、遺産相続における特別受益は問題にならないため、贈与の趣旨いかんにかかわらず請求できないのです。

イ 請求できる場合

不正操作行為自体は遺産相続開始前のものと遺産相続開始後のものがありますが、遺産相続開始後に請求する場合でも、遺産相続における法定相続分を超えているいないにかかわらず、不正操作をした全額に対して請求できます。義理の兄弟は相続人ではないために、遺産相続における法定相続分を考慮しなくてもよいからです。

(3)遺産相続開始前におけるもめごと Ⅲ

遺産相続発生前に財産の不正操作が発覚して、親が子供などの不正操作をした者に対して請求するパターンです。
遺産相続は発生していないので、相続人かどうか、遺産相続における法定相続分を超えているかどうかなどは一切考慮する必要はなく、不正操作をした分すべてに対して請求ができます。たとえ遺産相続が間近に予想されるタイミングであっても、遺産相続が発生していない以上、他人の財産を勝手に持ち出した事案として処理されます。
このパターンは、純粋には遺産相続トラブルそのものではありませんが、親の財産について争う点で遺産相続トラブルにつながり得る問題といえます。遺産分割に詳しい遺産相続弁護士に対応を相談し、発覚後すぐに請求に向けて動き出した方がよいでしょう。

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